数々の映画やドラマで、さまざまな人々の心の機微を演じてきた俳優・市毛良枝さん。10月24日(金)に全国公開を控え、さらに11月6日(木)には小説版も刊行される大注目の映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』では、W主演を務めるグローバルボーイズグループ・JO1のメンバーであり、俳優としても実力を伸ばす豆原一成さんとともに、祖母と孫という世代を超えた心の交流を描きます。
44年ぶりの主演作で、大学に通う70歳の女性を演じた市毛良枝さん。長年、多くの人の人生を演じてきた彼女が、いま改めて感じているのは、「年を重ねることは、想像力が豊かになること」。新しい挑戦を恐れず、自分らしく歩み続ける、その軽やかな生き方を聞きました。
若き日の恋人役が、半世紀を経て夫婦に。
「主役だからといって、特別な気持ちはないんです」。44年ぶりの主演について尋ねると、こちらの想像以上に飾らない言葉が返ってきた。
「俳優は“映るスタッフ”。スタッフの思いや、関わっている人たちの気持ちを、私が代わりになって、観る人たちに届けるのが役割だと思っています。もちろん、主演をいただけるのは、ありがたいことです。でもだからといって、主演だとか脇役だとか、そういう区別には昔からあまり意識をしていないんです」
70歳の文子と大学生の拓磨。世代も価値観も異なるふたりが、日々の暮らしをともにするうちに、それぞれの中にあった迷いや寂しさが、やわらかくほどけていくーー。小説版では、文子と拓磨の関係性がさらに丁寧に描かれ、巻頭カラー16ページには主演二人の印象的なシーンを収録。映画の余韻を静かに味わえる一冊となっています。
豆原さんとはじめて会った日のことを尋ねると、「とても素直で、目のきれいな青年だなと思いました」と市毛さん。




