【見どころ2】世代ごとの“揺らめき”を表現する3人のキャストに注目
小学生、高校生、大人とそれぞれの「遠野貴樹」を演じる3人のキャストが、自然とつながっているように見えるところもポイント。それぞれの年代が持つ揺らめきやまっすぐさを見事に表現した、3人の貴樹を紹介します。
松村北斗(大人の貴樹)
都内でソフトウェア開発会社に勤めている。人と深く関わらないようにしていて、同僚からも気をつかわれている。
<心の一部を思い出の中に置いてきてしまったような、たたずまいが印象的。さみしげな表情にひきつけられます>
青木柚(高校生時代の貴樹)
種子島で高校生活を送っている。東京から来たということで、地元の同級生とは少し違う雰囲気をまとっている。
<子ども貴樹と大人貴樹をつなぐ重要な役割。子どもじゃないけど大人になりきれてもいない、ちょうど間の貴樹を微妙に調節されていて、うなるほど演技が上手かったです>
上田悠斗(幼少期の貴樹)
東京の小学生。親が転勤族のため、引っ越しを繰り返している。
<オーディションで抜擢され、この作品がデビュー作となる11歳。ちょっと内気だけど明里には心を開く貴樹をフレッシュに演じています>
【見どころ3】原作の世界観を大切に、さらに広がりを感じる映像
アニメーションの原作ファンも多いこの作品。しかも新海誠監督のアニメが実写化されるのは初とあって注目を集めていますが、スタッフ、キャストともに原作の世界観を大切に映像化したのが伝わってきて感動します。
星や宇宙、電車などの象徴的なモチーフのちりばめ方、小田急線の踏切、雪の中で咲く桜、種子島の海といったロケーション、またコマ割りやディテールからひしひしと原作愛を感じるのです。
1時間3分の連作短編集だったアニメーションを約2時間のドラマにするにあたっては、貴樹や明里の人物像をさらに深め、アニメでは描かれていなかったような周囲の人々との関わりも描くことで、より2人の人間性や思いが浮かび上がってくるような脚本になっていました。なのでもちろん原作を知らない方も、貴樹が大切な何かを探し続ける18年間の物語として新鮮な気持ちで楽しむことができる内容になっています。
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