表面への即効的なアプローチから、土台にじっくり働きかける長期的作用まで、年齢肌の悩みに応える炭酸美容。炭酸を知り尽くしたスペシャリストである花王の研究員・曽根千晶さん、高野圭さんが、炭酸美容の基本から知られざるパワーまでじっくり解説します。
深く届いて血行を促し、肌を土台から元気に
炭酸と聞いてまずイメージするのは、シュワシュワの飲料。でも炭酸コスメは少し違います。40年以上にわたる炭酸研究の歴史を持つ花王の研究員・曽根千晶さんによると、その違いは泡のサイズと濃度にあるそう。
「炭酸飲料のように大きな気泡〈ミリバブル〉は肌への作用が弱く、もっとも効果が期待できるのは、毛穴の約20分の1の大きさなどの、顕微鏡で観察できる〈マイクロバブル〉です。また、炭酸コスメの中でもパチパチ弾けるタイプは、炭酸にガスを加えた処方。心地よい刺激感や清涼感はあるものの、弾けると同時に炭酸が空気中に逃げてしまうため、効果は限定的といえます。花王では、炭酸を高濃度のまま肌の奥に届ける処方を日々研究しています」
そんな炭酸コスメのメリットとは?
「まず注目すべきは浸透力です。炭酸は、肌の角層から表皮、真皮、さらに毛細血管にもダイレクトに作用することがわかっています。脂肪層にも作用して、脂肪量の減少効果があるという、大学の研究報告も」
さらに、炭酸のマルチな美容効果について、皮膚科学に詳しい花王研究員の高野圭さんはこう話します。
「ひとつめは、肌の毛細血管を拡張し、血流を促すこと。これにより、酸素や栄養を効率よく届けられる、というわけです。よくデモンストレーションでもお見せするのですが、炭酸泡を肌にのせて1〜2分おくと、その部分が赤くなります。これは血流がアップしたサイン。血行がよくなることで肌に血色感が生まれ、明るい印象をもたらします。さらに炭酸が表皮に浸透すると、pHの低下により、細胞の新陳代謝=肌のターンオーバーも促進。古い角質が剝がれやすくなり、結果的にニキビの軽減にもつながります。
そのほかには、物理的刺激を与えることなく皮脂汚れを浮かせて洗浄力を高める効果も。加えて、私たちはマイクロバブル化した炭酸の新たな作用も発見しました。コラーゲンやエラスチンなど真皮成分の産生促進、紫外線を浴びた後の炎症抑制、角層を一時的に緩めて有効成分を浸透させる働きです」
加齢により代謝が落ち、血行不良になりやすい素敵世代こそ、炭酸の血行促進効果を味方にして、肌を土台から元気に底上げしましょう。
そもそも炭酸とは?
炭酸ガスが水と反応してできる炭酸。水と融合して炭酸になりますが、その状態で安定するわけではなく、水素イオンになったり、イオン化して重炭酸イオンになったり、3つの状態を行き来します。
この記事のキーワード