ファッションも美容も生き方も自分軸の哲学を持ちながら、柔軟な姿勢で新しいことにも向き合う、 富岡佳子さんの軽やかな生き方に迫ります。
大荷物を抱えていたら楽しく人生の山を登っていけません!
潑剌とした笑顔やファッションのセンス、さらには「富岡ショート」と呼ばれる真似したいほどチャーミングなヘアスタイルなど、富岡さんからさまざまなインスピレーションを受けているという人も多いはず。しかし、そこに至るまで、それなりの葛藤や意識の変化があったのだとか。
「50代後半になって、やっと心や時間に余裕ができて、自分でも生き方が軽やかになってきたなという実感があります。私はどちらかというと繊細さんで、いろいろなことが気になってしまう自分に悩んでいた時期もあったんです。でも、繊細だからこそ、読者の方がどんなことに悩んでいるのか、どんなことを知りたいのかなど、感じ取れる部分があるのではないかと思うようになってきました。短所が実は長所だったということもあるんですね。
『素敵なあの人』で自分の好きなもの、おすすめしたいものをご紹介する連載をスタートしたり、カルチャースクールでファッションの講座を行うようになったりしたこともきっかけのひとつだと思います。
そこで強く感じるのが、年を重ねるにつれ、例えば『こんな服はもう着られないな』とか自らに制限をかけている人がとても多いこと。私たちはまだまだ前に進んでいけると思うんです。むしろ若いころより大人になってから似合う服もあるし、年齢的に食べる量に注意しなければならなくなっても、おいしいものを知っているから、食事の時間をより楽しく過ごせるということも。過去を振り返ったり、いまに心を悩ませて同じ場所に停滞するより、自分のこの先に興味を持って、どんなふうになっていけるかなと考えるほうがずっといいじゃないですか。
そのためには、後ろ向きの気持ちや不安な心みたいな、大きな荷物を抱えていないほうがいい。軽量化しなければ楽しく山を登っていけないから。私たちはだんだん個性が強くなってくる世代だから、おしゃれも、美容も、生き方も引き算していくのがちょうどいい。持っているとしんどいものは棚卸しして、空いたスペースに知性や経験を入れて、余裕のある生き方をしていきたい。そうすることで、新たな可能性が広がっていくような気がするんです。究極的に言うと、私たちは“自分軸”で考えていい世代。よく、自分で自分のご機嫌を取るって言うけれど、いい悪いの判断を人にゆだねる必要はなし。これからの自分自身に興味を持って、楽しみも素敵さも拡大しましょう!」
ブラウス¥33,000/カオス(Chaos GINZA SIX)、ブレスレット¥56,100/ヒロタカ(ビームス 六本木ヒルズ)
撮影/資人導(SEPTEM) ヘア&メイク/黒田啓蔵(Iris) スタイリスト/村山佳世子 モデル/富岡佳子
※素敵なあの人2025年11月号「富岡佳子さんの「これからのわたし」に興味を持つ生き方」より
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