旅先で出合った人や景色を撮影した、旅情あふれる写真やエッセイが人気の写真家・葛西亜理沙さんが、アメリカ・カルフォルニアのシエラネバダ山脈に位置する山岳リゾート地「マンモスレイク」へ!思わず息をのむ美しい風景やグルメ、アクティビティなど旅気分を味わえる旅行レポは必見です!
カリフォルニア州シエラネバダ山脈に位置するリゾート地、マンモスレイク。“レイク(湖)”が地名につくほど多くの美しい湖が点在し、アウトドア愛好家やリゾートステイで訪れる人も多い。そんな大自然に囲まれたこの場所をカメラとともに旅してきた。
透明度の高い美しい湖「囚人湖」
最初に向かったのは、マンモスレイクで最も美しい湖のひとつと評されている「Convict Lake(囚人湖)」。ユニークな語感を持つその湖は、1871年に脱走犯がこの湖周辺で隠れ、銃撃戦があったことから名付けられた。けれど、その名前と打って変わって、この湖は絵に描いたように美しい。
角度が変わるとまた表情を見せてくれる
この湖は、数千年にわたり先住民にとって生活や精神文化において重要な水源であり、周囲の山々を含めた聖なる大地の一部でもあった。「豊かさ」や「聖性」を備えた土地として長年大切にされてきた。
上から見ると水底が見えるほど水が透き通っているのがわかる
湖畔にはぐるりと1周できる全長3マイルのトレイルがあり、ほとんどが平坦でアップダウンも少ない。足元の野草を見たり、湖でボートやカヤックを楽しんでいる人を眺めたり、1時間半ほどのハイキングで大自然を満喫できる。
天気のいい日は軽装でハイキングをしている人も多い。
足元を彩るうちわサボテンや、野花を楽しんでいるとチップモンクと呼ばれる小さいリスに遭遇。
湖畔を歩くと、ひんやりとした空気が気持ちいい。水面はまるで鏡のようで、山肌に映り込む光と影がゆっくりと映ろうのを感じられる。新鮮な空気を深く吸うと清涼感が胸いっぱいに広がる。人はこの澄んだ湖と景色に癒され続けてきたのかもしれない。雄大な景色を眺めながらシャッターをひたすら切っていた。
湖ではボートやカヤックで楽しんでいる人を多く見かける
イーバイクで満喫する湖巡り
さらに、新たな視点で湖の風景を楽しむべくイーバイクで小さな冒険へ。アメリカのイーバイクは、フルに電気アシストの力を借りハンドルを動かすだけで進むオートバイクのようなもの。全く漕ぐ必要もなく、体力に自信がなくても十分に楽しめる。
イーバイクや自転車専用に道も舗装されていて、車や歩行者を気にせず走れる
ダウンタウンからひたすら坂を上がっていくと、徐々に空気がひんやりしてくるのがわかる。周りの山々は揺るぎない存在感でそこに立っているが、景色は流れるように後ろへ消えていく。車では通り過ぎてしまいそうな細道も、心地よい風を感じながらゆっくりと進んでいく。
壮大な景色を眺めながらのボートは気持ちいいに違いない
進むたびに視野いっぱいに広がるのは点在する大小の湖。標高2800メートルの場所を普通のマウンテンバイクで行こうとすると漕ぐことで精一杯になってしまいそうだが、イーバイクだから目の前に広がる圧倒的な景色を満喫できる。徒歩では決して辿り着けない風景を楽しんでいた。
ホースシュー湖。湖周辺の土壌は高濃度の二酸化炭素が含まれており、それが浸透して周りの樹木を枯らす不思議な光景が見られる。
山の上から眺めるツイン・レイクス。キャンピングチェアをセットして景色を楽しむ人も
立派なニジマスも釣れるマンモスレイク。許可証を取得すれば釣りができる
レイクメアリー、ツインレイクス、ホースシューレイクなど、マンモスレイクという場所を作り上げてきた湖を風を切って巡っていく。イーバイクで軽やかに動いていく風景を楽しめるのはちょっとした驚きでもあり、まさに五感を刺激する体験となった。
ガイドをしてくれたジェスさん。元々はシティーガールだった彼女は、この大自然に憧れて移住してきた。
湖畔に佇むレストラン「レイクフロント・レストラン」
体を十分に動かし、大自然を堪能したあとは、少しおしゃれをして静かに食事を楽しみたい。クラシカルな雰囲気のレイクフロント・レストランはマンモスレイク屈指のファインダイニング。ここでの夕餉は特別なひととき。
テーブルには花が飾られ、落ち着いた雰囲気のレストラン
丁寧に盛り付けられた料理は、地元の食材が持つ豊かな風味を最大限に引き出したもの。一口食べるたびに、繊細な味わいが口いっぱいに広がり、心まで満たされていく。カリフォルニアワインとペアリングするとさらに味が引き立ってくる。
サンセットマガジンで「イースタンシエラで最高のディナー」賞を受賞
エントランスにはラウンジとバーがありお酒を楽しめる
暖かな雰囲気のホテル「アウトバンドマンモス」
そして、この旅で滞在したのは、アウトバンドマンモス。 木の香りに包まれたホテルは、窓から差し込む光が柔らかく、旅人を迎え入れてくれる温かさがあった。広々とした中庭は雪を被った山脈が見えてとても開放感がある。
標高の高いマンモスレイクは、日中は半袖でも過ごせるくらい暑くなっても、夕方過ぎまで外で過ごしていると、避暑地らしくぐっと冷え込んでくる。暖炉のあるラウンジでは、優しい火の温かさが人を惹きつけるのか、読書をしたりチェスを楽しんだり穏やかな時間が流れていた。
部屋は少しレトロな山小屋の雰囲気
ラウンジの一角にはソムリエのいるワインバーもある。カリフォルニアワインを堪能しながら過ごすこともできる。マンモスレイクで過ごした時間はあっという間だったけれど、心の余裕が旅の価値を高めてくれるのかもしれない。
ワインの飲み方の方法や、同じ品種の葡萄でも醸造家が違うと味が変わることなどを教えてもらえる
ライトアップされたホテルの中庭を眺めながら、旅の思い出を静かに振り返っていた。山々と湖が作り出す雄大な自然、地元の食材を使った食と、ホテルで過ごした心温まる静かなひととき。マンモスレイクは、忘れがたい感動と新たなインスピレーションを深く刻み込んでくれた。
写真・文:葛西亜理沙
取材協力
カリフォルニア観光局 www.visitcalifornia.com/jp
マンモスレイク観光局 www.visitmammoth.com/
スターラックス航空 https://www.starlux-airlines.com/ja-JP
2020年から運行を開始した台湾のラグジュアリーエアライン「スターラックス航空」。航空業界の格付け機関SKYTRAX社から最高評価の「5スター」を獲得。エレガントな雰囲気とシートの心地よさで、就航以来、旅好きの人から注目を集めている。
洗練された雰囲気のプレミアムエコノミークラスは、背もたれも広く、15.6インチの大画面とノイズキャンセリングのヘッドフォンで、くつろぎながら空の旅を楽しむことができる。オーバーナイトバッグは「SMILEY」がデザインされているのも嬉しい。12月末まではスヌーピーとのコラボも楽しめる。
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