街全体を巻き込み、現代美術を体感できる国際芸術祭が全国で盛り上がりを見せています。今秋は「千葉国際芸術祭」と「東京ビエンナーレ」が開催。その見どころを『ARTnews JAPAN』編集長・名古摩耶さんがナビゲートします。
>>>「瀬戸内国際芸術2025」「 国際芸術祭あいち2025」の見どころはこちら
千葉国際芸術祭2025
市民がアーティストとともに「まち」を見つめ直し作品を創造する
今年スタートのトリエンナーレ
「すでに開催中で、アートをただ鑑賞するだけでなく、すべて、観る人もその一部となれるようなワークショップや展示が提供されています。アーティストでなくても、美術表現の制作に携われるというチャンスは、なかなか稀有なことです。いわゆるハイブロウなアートにとどまらない、市民の誰もが参加できる開かれた魅力のある芸術祭だと思います」(名古さん)
芸術祭のコンセプト「ちから、ひらく」には、千葉の地から「もの・こと・ひと」を拓き、創造活動を始めること。そして千葉の人々の「ちから」が開花する夢が込められている。また千葉開府900年を記念して鑑賞料はすべて無料。
【開催概要】リサーチ・制作期間:4月〜9月中旬(プロジェクトやイベントごとに開催日時を設定)、集中展示・発表期間:9月19日(金)〜11月24日(月・振休)・毎週水曜日定休、会場:千葉駅周辺エリア、市場町・亥鼻エリア、千葉市役所周辺エリア、西千葉エリア、千葉公園周辺エリア(すべて公共交通機関で移動可能)ほか、参加作家・団体:32組、総合ディレクター:中村政人、主催:千葉国際芸術祭実行委員会
「まちばのまちばり」西尾美也 仕立て屋のような完成を目指すのではなく、まち針で仮留めしたような工作としての自由な服作りプロジェクト。ワークショップへの参加を重ね、市民アーティストとして「まちまちテーラー」に認定されると、町の仕事着や個人からの注文など町の服を仕立てていく。
「AngerDog」藤浩志 これまで全国で行われてきた、遊ばなくなったおもちゃを子どもたちが持ち寄りかえっこするプロジェクト「かえっこ」により収集されたおもちゃから作られた作品。集中展示・発表期間にはこれまでのプロジェクトによって集まったプラスチックを素材に子どもたちと地球環境を考える「33年後のかえる」が展開される。
「タイムラグ・パーク」国道357号上部の空間を舞台に、スケートボードとアートを融合させたユニークな空間を展開。写真は周囲の壁面に描かれた交通標識の線画を子どもたちが自由に塗り絵をしたもの。