旅するときは予定を決め過ぎず、だいたいが風の吹くまま、気の向くまま、という風吹さん。昨年末からの九州旅で見つけたおいしいものシリーズの最後は、好奇心のままにのぞいてみたお店で見つけた逸品。800 年以上の歴史のある伝統食を、日常でも気軽に楽しんでいるそうです。
歴史に想いを馳せながらつまむ、800年続く伝統製法で作る熟成豆腐
熊本県人吉市の青井阿蘇神社はとても気持ちのいいところでした。
国宝の社殿で参拝し、一円玉にも描かれている、神社でおなじみの「招霊木」にも触れた後、「お昼を食べよう」と思ったのですが……その日は大晦日でどこもやっていない! ふと見ると、ぽつんと開いているお店が。それが「五木屋本舗」さんでした。
店頭にズラリと並んでいたのが「山うにとうふ」。といってもウニは入っておらず、実は豆腐の味噌漬。大豆と名水で作った堅豆腐を秘伝のもろみ味噌で漬け、長時間熟成させて作るそうです。壇ノ浦の戦いで落ち延びてきた平家の落人がタンパク源としていた保存食だったとか。
まさにウニのようにとろりとした食感、チーズのように濃厚で芳醇なおいしさ! 見た目はちょっぴり不恰好ですが贅沢な味わいです。私は買って帰ったミニサイズをペロリと食べ切ってしまいました。
ごはんのお供やディップにしたり、小さく切ってパスタや炒め物に使ったりと、とても使い勝手がいいんです。トーストにチーズ代わりにのせたり、食後に炭酸水やほうじ茶を飲みながらつまむのも好き。クセになる逸品との出合いも神社の御利益かもしれません(笑)。