直木賞受賞の原作小説を、『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督が実写化。妻夫木聡さん、広瀬すずさん、窪田正孝さん、永山瑛太さんを主要キャストに迎えた映画『宝島』が9月19日より全国公開です。
戦後まもなく、アメリカ統治下だった沖縄が歩んできた20年を、総製作費25億円、6年の年月をかけて真正面から描いた191分の超大作。失踪したひとりの男の行方を追うサスペンスであるとともに、「本当の沖縄の姿」を伝えたいという製作陣の熱意がスクリーンからあふれ出て、1秒も見逃せません! 見どころだらけのこの作品を紹介します。
ストーリー
1952年、アメリカ統治下の沖縄。米軍基地から物資を奪い住民らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちがいた。幼馴染のグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)の三人。そして、町の英雄的存在であり、リーダーとしてみんなを引っ張っていたのが、一番年上のオン(永山瑛太)だった。ある夜、彼らは大勝負となる基地襲撃を仕掛けたが米軍に見つかり、オンはメンバーとはぐれて姿を消してしまった。
6年後。グスクは、オンを探す手がかりになればと刑事になった。オンの恋人でもあったヤマコは米兵相手のAサインバーを切り盛りするチバナ(瀧内公美)の元で働きながら勉強し、オンと約束した教師に。レイは刑務所に入ってオンに関する情報を収集し、出所後ヤクザになった。三人は別々の人生を歩みながらも、オンを探し求めていた。
やがて三人は、20年間探し続けたオンが守りたかったものとは何か――失踪の謎と真実を知る。
【見どころ1】知らなかった…「本当の沖縄の姿」を目の当たりに
映画の舞台は戦後まもなく、アメリカ領土とされていた頃の沖縄。日本の本土と行き来するためにはパスポートが必要だった時代に、米軍基地から物資を奪い取って住民に配っていた“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちがいたこと、知らなかった人が多いのではないでしょうか。奪い取った物資は、戦争で土地や家を失い生活に困窮する人たちに分け与えられたので、“戦果アギヤー”は英雄視されていた部分がある一方、組織だって窃盗を働き利益を得る集団も出てくるようになりました。
“戦果アギヤー”のリーダーで、町の英雄だったオンが行方不明になってからの20年間は、沖縄が日本に返還されるまでの歴史と重なります。当時、沖縄の人たちはどんな思いで暮らしていたのか、生きるための苦難、マグマのようにたまる怒り、悔しさ、諦め、数々の涙が画面越しにまっすぐ伝わってきて痛いほど。
そして自分が、沖縄については観光地としての情報や、歴史の教科書やニュースで断片的に見る程度の上っ面な知識しかなく、本当の姿を何も知らなかったんだとわかって愕然とします。だからいま知らなくてはいけない、隅々まで目をこらして見なくてはいけない、心に刻まなくてはいけない、という衝動に突き動かされる作品になっています。
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