あなたは毎晩、ぐっすりと眠れていますか? 眠れなくてイライラしたり、ぼんやりしてしまったりしていませんか。「年を重ねたから仕方ない」と諦めず、眠れない原因を知って、よりよい眠りを作っていきましょう。日本睡眠学会総合専門医・中村真樹先生にお話を伺いました。
睡眠時間は7時間で充分!眠りの質を上げる習慣を
いま、上手く眠れないと悩む素敵世代が増えています。どうして眠れないのか、よい眠りを作るにはどうしたらいいのかについて、睡眠の専門家である中村先生にお話を伺いました。
「睡眠にまつわる悩みはいろいろありますが、素敵世代に多いのは夜中に目が覚める『中途覚醒』と朝早く目が覚める『早朝覚醒』。どちらも、主な原因は加齢です。年を重ねるごとに、眠りをもたらす脳内物質・メラトニンが減少するなど、脳の眠りを維持する機能が低下することで起こります。自然現象とはいえ、不眠が悪化すると不調や病気のリスクが高まるため、油断は禁物です。
それでは、素敵世代がよい睡眠をとるにはどうしたらよいのでしょうか。そもそも〝よい睡眠〟とは、『量』『タイミング』『質』の3つの条件を満たしたものを指します。
『量』は睡眠時間のことで、とるべき時間は年齢によって変わります。60代女性なら7時間程度眠れていれば充分です。昔より眠れなくなったからといって悲観することはないのです。そして『タイミング』とは、就寝と起床の時間を指します。つまり、決まった時間に寝て決まった時間に起きる規則正しい生活リズムが大切ということ。このふたつをクリアしたうえで、『質』を高めていくのがよいとされています。
質を高めるには、まず、〝眠りを悪くする要因〟を取り除くことが必要です。その後、プラスアルファで快眠につながる習慣を取り入れていくといいでしょう。たとえば中途覚醒は生活習慣も大きく影響しているので、それを見直すことで眠りの質を改善することができます。『昔ほど眠れなくても仕方がない』と受け止めつつ日々の習慣を見直して、よりよい眠りを得られるよう努めていきましょう」(中村先生)
【Column】素敵世代にも多く見られる「睡眠時無呼吸症候群」
男性に多いイメージの睡眠時無呼吸症候群(SAS)ですが、女性も無関係ではありません。閉経後、女性ホルモンのプロゲステロンが減少すると喉の筋肉が緩みやすくなり、気道が狭まりやすくなります。また、体重が増えると舌に皮下脂肪が沈着し、舌が喉に落ち込みやすくなります。結果、SASを引き起こすことに。素敵世代は要注意です。
【Column】眠りの邪魔をする「むずむず脚症候群」とは
加齢や遺伝、薬の副作用などが原因で、夕方以降になると脚に不快感が生じる病気。むずむずとした特有の不快感により、眠りにつきにくくなります。寝ついた後も脚が周期的にピクピクと動くため、中途覚醒につながることも。心当たりのある方は、専門医(日本睡眠学会HPの「睡眠医療認定一覧」を参照)に相談を。
【日本睡眠学会HP】
https://jssr.jp/list
イラスト/植松しんこ 構成・文/平井薫子
※素敵なあの人2025年10月号「60代こそ睡眠が大事 素敵世代の”よい眠り”の作り方」より
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