ミセン/人生は自分の選択次第であらゆる道に進むことができる
今年1月に上演したのは韓国の漫画を原作としたミュージカル『ミセン』。脚本・作詞・音楽・演出を韓国のクリエイターが、振付や美術・映像などは日本のクリエイターが手がけ、作り上げられました。
「あるマネージャーさんから、韓国と日本のクリエイターがオリジナルミュージカルを日本で創作するのは初めてだよ、と言われました。そんなことはまったく意識していなかったのですが、作品にとっていちばんよい、と思う形をとって進んだ結果が、日韓のトップクリエイターによる新たな挑戦となりました」
チャン・グレは囲碁のプロ棋士になるという子どものころからの夢を諦めざるを得なくなり、社会に放り出されてしまう。知人の紹介で大手貿易会社「ワン・インターナショナル」のインターンシップに参加することになるが、入社早々、グレは厳しい現実に直面する。熾烈な争いを勝ち抜いてきたエリートばかりの同期インターンたち。企業社会での経験が皆無のグレは、明らかに後れを取っている。そして、グレが配属された第三課は会社では日陰の存在。この課を率いるのが、情熱と人間味溢れるオ・サンシク課長。オ課長のもと、グレは自分の経験や囲碁で培った戦略的思考を仕事に応用し、少しずつ成果を上げていく。
原作:ユン・テホ著作権者:SUPERCOMIX STUDIO
脚本・歌詞:パク・ヘリム、音楽:チェ・ジョンユン
翻訳・訳詞:高橋亜子
演出:オ・ルピナ/初演2025年
初演キャスト:前田公輝、橋本じゅん、清水くるみ、石川禅、安蘭けいほか
原作漫画『ミセン』は韓国で大ヒット。母国でのテレビドラマ、映画化につづき、日本のプロダクションがミュージカル化を手がけることも大きな関心を呼んだという。現在、日本では、コミックスからオリジナル漫画、ライトノベルを「話」「巻」単位で読むことができる電子書籍の配信サービス「ピッコマ」で読むことができる。
主人公がインターンとして働く職場の喧騒を、見事な映像美術とともに表現した。
※ご紹介した作品は、DVDやBlu-rayなどのソフト化はされていませんが、WOWOWや衛星放送などの有料チャンネルで放送されることがあります。
お話を聞いた方…
井川荃芬(いかわかおる)さん
2008年、株式会社ホリプロに入社。6年半マネージメント部署にて鹿賀丈史さん、船越英一郎さんを担当。その後、念願の公演事業部に異動し、さまざまなミュージカル作品を手がける。海外作品では、2024年にはブロードウェイの名作『カムフロムアウェイ』を上演、第32回読売演劇大賞選考委員特別賞を受賞。2025年には、英国BBCのドキュメンタリーに基づいた『ジェイミー』(日本初演2021年)の再演を果たした。
構成・文/杉村道子
※素敵なあの人2025年9月号「注目の新作が次々に誕生しています 日本オリジナルミュージカルが愛される理由」より
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