世界から愛される漫画や小説からミュージカルを立ち上げ、『デスノート THE MUSICAL』『生きる』ほか数々の人気ミュージカルを上演し、海外での公演も果たしてきたホリプロ公演事業部。多くの作品を手掛けてきたプロデューサーである日本発のオリジナルミュージカル上演にかける想いを伺いました。
劇場へ足を運ぶ観客層を広げていく作品は宝物
オリジナルミュージカル第2弾は、梶山プロデューサーが企画した黒澤明監督の名作『生きる』。世界的に愛される名画の舞台化は、制作発表と同時に大きな注目を集めました。
2023年の再再演では上皇夫妻もご覧になり、ニュースではその様子が報道されました。
「通常、ミュージカルは女性のお客様が多いのですが、この作品は男性やご夫婦連れなど、普段劇場に足を向けない方もたくさん来てくださる作品になりました。届ける作品が、幅広いお客様がミュージカルの面白さを知るきっかけになるのならこの上ない喜びです」
生きる/余命を知ったら、残された人生をどう生きるか
定年を間近にした市役所の市民課長、渡辺勘治。早くに妻を亡くした彼は息子夫婦と同居しているが、心の距離は遠い。
そんなある日、渡辺は、自分が胃癌であり残りの命が長くないことを知る。自暴自棄になった彼は、居酒屋で出会った売れない小説家と夜の街に繰り出し、人生を楽しもうと試みるが、心が満たされることはなかった。
翌朝、市民課で働く女性・小田切とよに偶然出会う。太陽のように明るい彼女に惹かれ、頻繁に誘うようになる渡辺は「残りの人生を、1日でいいから君のように生きたい」と本音を語る。そして、とよが何気なく伝えた言葉に心を動かされ、渡辺は人生をかけた決意をするのだった。
作曲・編曲:ジェイソン・ハウランド
脚本・歌詞:高橋知伽江
演出:宮本亞門/初演2018年
初演キャスト:市村正親、鹿賀丈史(以上、渡辺勘治ダブルキャスト)、新納慎也、小西遼生(以上、小説家ダブルキャスト)、May’n、唯月ふうか(以上、小田切とよダブルキャスト)、市原隼人、山西淳ほか/2020年、2023年には一部キャストを変更して再演、再再演。
勘治は、偶然知り合った小説家に、それまで知らなかった華やかな夜の街に誘い出される。
勘治の葬式。市役所の職員や家族が参列するなか、小説家や勘治の最後の仕事に感謝する市井の人々も訪れる。