尿もれは、40代以上の女性のふたりにひとりが経験するといわれるほど、実はとても身近な悩み。今回は、そんな尿もれの仕組みやケアの方法について、女性泌尿器科医・佐藤亜耶先生にお話を伺いました。
尿もれはよくあること。適切にケアすれば改善や予防にも!
なぜ年を重ねると「尿もれ」が起こりやすくなるのでしょう?
「尿もれにはいくつかタイプがありますが、60代女性によくあるタイプは大きく分けてふたつ。ひとつが、くしゃみをしたときなど、おなかに力が入った瞬間にもれてしまう腹圧性尿失禁(下記参照)で、主な原因は骨盤底筋の低下です。もうひとつが、突然強い尿意を感じ、我慢できずにもれてしまう切迫性尿失禁(下記参照)。加齢とともに増える傾向にあり、骨盤底筋の低下も一因です。統計的には腹圧性が多いのですが、複合的なケースも。いずれにしても、ある調査によれば40代以上の女性の半数近くが経験しているほどよくあることで、実は私も経験者です。患者さんにそのことを伝えると、私だけじゃないんだ!と安心されます」
尿もれが女性に多いのは、男性より筋力が低いからでしょうか?
「より大きな原因は、加齢による筋力の低下や出産による骨盤底筋のダメージです。産後、一時的に尿もれを経験した方も多いのではないでしょうか。いったんは治っても、そのダメージが40代以降、じわじわと効いてくることがあります。そのため、尿もれは出産経験がある方に多いのです。また、体の構造上、男性は尿道が長いので、女性より尿がもれにくいということもあります」
尿もれを経験したら、どうすればいいのでしょう。
「まず大切なのは、ひとりで悩まないこと。恥ずかしさから誰にも言えず我慢してしまう方も多いですが、お話ししたとおり、尿もれは決して珍しいことではありません。骨盤底筋を鍛えることで、改善や予防につながることもありますし、最近は、尿もれ用のパッドやショーツなど、尿もれがあっても快適に過ごせるアイテムが充実しています。必要に応じて活用し、悩まず、外出も諦めず、毎日を楽しんでください。また、なかなか改善しない方は、思いきって泌尿器科を受診するのもひとつの方法です。ハードルが高く感じるかもしれませんが、適切なケア方法がわかり、気持ちも楽になるはずですよ」
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