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年を重ねて似合うもの 60代からの大人の装い 素敵なあの人Web

素敵なあの人 2025年9月号

素敵なあの人 最新号

2025年9月号

2025年7月16日(水)発売
特別価格:1740円(税込)
表紙:結城アンナ

素敵なあの人 2025年9月号

公開日:

尾上松也さんインタビュー後編!「僕らの世代で作った歌舞伎の新作が1つでも、何百年後かに残っていけたら。そんな夢を抱きながら、今回の作品も作り上げていきます」【好奇心の扉】

近年、大きな話題を呼ぶ新作歌舞伎が増えています。キャラクターや世界観の魅力はそのままに、安土桃山時代を舞台にした『流白浪燦星』、来年にはシネマ歌舞伎としても公開される『歌舞伎NEXT朧の森に棲む鬼』など、そのいずれの作品にも出演しているのが尾上松也さん。この夏は、2023年に大当たりをとった『歌舞伎刀剣乱舞』の新作『東鑑雪魔縁』が上演中。刀剣男士の中心的存在である三日月宗近を演じるだけでなく、企画・演出も手がける松也さんに、新作歌舞伎の見どころや魅力を余すことなく語っていただきます。

>>>インタビュー前編はこちら!

歌舞伎俳優として挑戦していきたい古典と新作の両立

松也さん自身、これまでに『エリザベート』や、劇団新感線『メタルマクベス』disc2など、歌舞伎の世界の外でミュージカルや音楽劇に出演してきました。そうした数々の経験はいま、どのように生かされているのでしょうか。

「自分の中に、山のように積み重ねられていると思います。それは具体的ななにかというよりも、歌舞伎とはまったく違う作り方、演出方法、そうした感覚を持ってる人たちと仕事をすることで受ける刺激と影響の大きさですね。必然的に自分の幅が広がることになります。

次第に自分の世界が広がってくると、作品を俯瞰して見られるようになってきました。演出として作品に向き合うとき、自由な発想を持って『なにがベストなのか』、その都度、見極めていくという柔軟性は、歌舞伎以外のことに挑戦させていただいたからこそだと感じます」

今年の春は、『仮名手本忠臣蔵』をはじめ、古典の名作にも重要な役どころで出演が続いた松也さん。俳優としての、古典と新作の違いと共通点について尋ねてみると……。

「役の気持ちが入らないと基本的にはどちらも成り立たないという根本的な仕組みは同じです。ただ、表現方法やスピード感はそれぞれ違う。それは歌舞伎そのものの奥深さでもあるし、自分が歌舞伎役者として試されているような気はします。

『仮名手本忠臣蔵』などの古典をやらないで新しい作品だけ、となると自分にとって新作という意味が全然変わってくるでしょう。古典的作品をやることがベースになり、新作にはそれを応用しながら新鮮な感覚を融合させていくことが大切です」

歌舞伎ならではの表現でキャラクターの拵えを作り上げる

古典に裏打ちされてこその新作歌舞伎。そのもうひとつの魅力を、松也さんはこう教えてくれました。

「衣裳や髷などの拵えは、ほかの演劇にはない面白さだと思います。原作がある作品では、よく“再現度”といわれ、いかにそっくりに見せるかが問われます。でも、歌舞伎ではキャラクターの特徴や核となる性格を歌舞伎として消化して扮装を作ることに意味がある。そこは歌舞伎ならでは、ではないでしょうか」

そして、新作は松也さんにとってロマンであるとも言います。

「三大名作といわれる『仮名手本忠臣蔵』『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』も、江戸時代では新作でした。そういう意味で、歌舞伎の新作というのは、500年後にも続くかもしれない演劇だといえるでしょう。僕らの世代で作った新作のひとつでも、何百年後かに『刀剣乱舞、来月かけましょうか』と言われるように残っていけたら……。そんな夢を抱きながら、今回の刀剣男士も作り上げていきます」

尾上松也さん

「今月は刀剣乱舞がかかってるよ」500年先にそう言われたい

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