数多くの俳優やアーティストを撮影してきたフォトグラファー中川真人氏が、憧れの人の本当の姿を引き出す「まことのはなし」。今回のゲストはデビュー以来、テレビドラマ・映画・音楽、そして舞台にと幅広く活躍を続け、世代を超えて愛されている俳優、大竹しのぶさんです。
新しいことにトライを続ける大竹さんはいつまでもチャーミング!(中川)
中川 舞台だけでなく、テレビや映画でも活躍されていますが、舞台ならではの面白さはどんなところでしょうか?
大竹 お芝居ということで言えば、ドラマも映画も舞台も変わりません。ただ、舞台は役柄の幅が広がります。ギリシャ神話やシェイクスピアの時代に行けたり、海外の現代戯曲であれば、その国に生きる人物ならではの運命や人生を演じることができる。日本の古典作品も、さまざまな時代の価値観のなかで生きるキャラクターを演じられます。でも、それぞれのジャンルで好きな表現はあって。たとえばテレビドラマの、日常のさりげない会話のなかで心情を一瞬表すような、繊細な表現も好きですよ。
中川 舞台はお稽古から千穐楽まで長い時間を必要とするお仕事ですよね。舞台が続くと、どんな生活になりますか?
大竹 開演の2時間半前には楽屋に入って、発声や柔軟運動というルーティンになりますから、生活はどうしても規則正しくなります。それに、翌日の上演のことを考えると、友達とどこかに出かけることはあまりできません。だから、お行儀よく、劇場と自宅の往復だけっていう生活になりますね。
中川 とても健康的(笑)。大竹さんが潑剌としたコンディションをキープされているのは、舞台があってこそ、なのかもしれませんね。
大竹 お稽古が1か月ちょっと、公演が2か月あると、1年にできる舞台は3作品が精一杯。本当は1年に2本ぐらいがいいなとは思うんですけど、楽しそう!って思うと、ついついお引き受けしちゃうんです(笑)。先日も、指揮者の佐渡裕さんに声をかけていただいて、語りと合唱とオーケストラによる演奏会に参加しました。初めてのジャンルだったのですが、皆さんと何度もお稽古して、本番ではホールの中で豊かな音楽に全身が包み込まれるような喜びを体験しました。そういう、初めての経験ができるお仕事にはとても魅力を感じます。
中川 充実したお仕事から、またエネルギーをもらっていらっしゃるんですね。休暇はちゃんと取っていますか?
大竹「ここはちょっと休みにしよう」という予定は組むようにはしています。友達とおいしいものを食べて心ゆくまでおしゃべりをしたり、友人家族と旅行に行ったり。娘が奄美大島に移住したので、そこに行くのもいまの楽しみのひとつです。ウミガメと泳いだりするんですよ。自然に囲まれて過ごすことは大好きです。元気をもらえますから。
中川 大竹さんは、いつまでもキュートなイメージがあります。その〝変わらなさ〟の秘訣があったら教えてください。
大竹 特に健康法はないですし、これといって運動もしていないんですけど(笑)、ただ「何歳だから」とか「何々だから」と言い訳はしたくないなとは思っています。仲のいいお友達とも「やりたいことは、いまやらないと!」って、よく話しています。
ブラウス¥92,400、パンツ¥155,100/ともにプルーン ゴールドシュミット(メゾン・ディセット)、イヤーカフ(上)¥50,600、(下)¥78,100、重ねたリング指先から¥60,500、¥312,400、¥277,200/すべて ヒロタカ(ヒロタカ 表参道ヒルズ)
Information
有吉佐和子の不朽の名作「華岡青洲の妻」を公演!
【日程・会場・問い合わせ】
2025年7月26日(土)、27日(日)久留米シティプラザ ザ・グランドホール(☎050-3539-8330)
2025年8月1日(金)~17日(日)新橋演舞場(☎03-3541-2600)
profile
大竹しのぶ
東京都出身、1957年生まれ。1975年 映画「青春の門 -筑豊編-」ヒロイン役で本格的デビュー。以来、日本を代表する演出家や映画監督に信頼される俳優として話題作に出演し続けている。著書に「ヒビノカテ まあいいか4」(幻冬舎)がある。
撮影・インタビュー/中川真人〔magNese〕 スタイリスト/坂本久仁子 ヘア&メイク/新井克英 文/杉村道子
※素敵なあの人2025年8月号「フォトグラファー中川真人のまことのはなしVOL. 15」より
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売を終了している場合があります。
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
この記事のキーワード