ねこ背に悩んでいる方が治すには、まずは脳に正しい姿勢を認識させることが大切です。土台となる骨盤から、次に背骨の順に整え、日々姿勢を確認するようにしましょう。今回は10秒集中すればOKのねこ背の治し方を、ねこ背矯正の第一人者である小林篤史さんに聞きました。
ねこ背を治すための2ステップ
骨盤を整え、しっかり骨盤を立てて土台を作ってから、背骨を整えるストレッチを行いましょう。加齢によってかたくなった背骨の柔軟性を高める作用もあるので、より効果的にねこ背を治すことができます。
STEP【1】骨盤を整える ←今回ご紹介するのはこちらのステップ!
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STEP【2】上半身を整える
骨盤を整えることはねこ背を治すための第一歩
「背骨を支える土台となる骨盤を整えることは、ねこ背を治すための第一歩。骨盤の状態を確認し、タイプに合うストレッチを行いましょう。もし前傾と後傾の判断がつかないという場合は、両方行ってもOK。ちなみに女性は前傾の人がほとんどです。というのも、前述した骨盤の構造によるほか、妊娠・出産経験のある人は骨盤底筋がゆるみ、骨盤が不安定になりがちなためです。骨盤を立たせると骨盤底筋が締まるので、尿漏れ対策にもなります」
STEP【1】骨盤を整える/骨盤の傾きをチェックしてから骨盤を立てるためのストレッチをしましょう
骨盤が前傾か後傾かによって、ストレッチ方法が異なります。自分に合ったストレッチをするためにも、状態をチェックしましょう。
骨盤の傾きをチェック
鏡を見たり、家族や友人に確認してもらう、写真を撮るなどでどちらに傾いているか確認を。
「骨盤前傾」の特徴
●鏡で見るとお尻が出っ張っている
●太ももの前側の筋肉が盛り上がっている
●腰が反っている
●おなかが出っ張っている
●内股、または内股気味
太ももの前や横の筋肉がこわばって縮み、骨盤が前に引っ張られている状態。腰の反りが強くなっておなかが出る一方、バランスを取ろうとしてお尻が突き出した姿勢に。パンツを脱ぎ着するときにお尻が引っかかる人は、前傾の可能性大。
「骨盤後傾」の特徴
●鏡で見るとお尻がないように見える
●太ももの裏側の筋肉がかたい
●腰が丸い
●膝が曲がって伸びきらない
●がに股、またはがに股気味
お尻や太ももの裏側の筋肉が縮こまり、骨盤が後ろに引っ張られる骨盤後傾。腰が丸まってお尻が引っ込んだ状態になり、体がバランスを取ろうとして膝が曲がって伸びきらなくなります。鏡で見てお尻の凹凸が目立たない人は骨盤後傾です。
骨盤を整えるストレッチ
伸びるべき筋肉が伸びていることを感じながらストレッチすると、効果的。伸びを感じないときは、ポーズとやり方を見直して。※いすは必ず固定式のものを使い、キャスターつきや背もたれが動くものを使うのは避けること。
「骨盤前傾」を治すストレッチ
太ももの前や横の筋肉がこわばって縮こまると同時に、股関節周辺がかたくなっている骨盤前傾。こわばりをほぐし柔軟性を高めていきましょう。
「太もも前面伸ばし」
太ももの前や横の筋肉のこわばりをほぐして骨盤を前に傾ける力を弱め、骨盤の位置を整えます。
【1】手で足の甲を持つ
立った姿勢で行う。壁やいすの背などに手をついて体を安定させ、左右の膝を揃えた状態で右足の甲を右手で持つ。
【2】ふくらはぎをもも裏に近づける
左右の膝を揃えたまま、右足を後に引き上げて10秒キープ。反対側も同様に行う。ふくらはぎをももの裏につける意識で行うとよい。
【NG】引き上げるときに腰を反らせたり、上体が前に倒れないようにする。
【伸びを意識するところ】太ももの前と横の筋肉(大腿四頭筋)
股関節前面伸ばし
股関節周辺の筋肉群をよく伸ばし、かたくなっている股関節の柔軟性を回復させるストレッチです。
【1】片膝を床につき反対側の膝を立てる
右膝を床につき、左脚は前方に出して直角に曲げる。肩の力を抜き、両手は左膝の上に重ねる。膝の下にタオルなどを敷き、膝を保護すると安全。
【NG】腰が反らないようにする。
【2】前方に体重をかける
前方に体重をかけ、10秒キープ。反対側も同様に行う。できる人は、より深く腰を落として行って。
【NG】上体が前に倒れたり、重心がお尻に残ったままになったりしないようにする。
【伸びを意識するところ】股関節、太ももの前の筋肉
「骨盤後傾」を治すストレッチ
股関節が前にずれてお尻の筋肉や太ももの裏側の筋肉が縮こまっているのをしっかりとほぐし、後ろに倒れる力を緩めることで骨盤を立てていきます。
太もも後面伸ばし
太ももの裏側の筋肉を伸ばし、こわばりをほぐして骨盤をまっすぐにするストレッチです。
【1】いすに腰かけ片脚を伸ばす
いすに浅く腰かけ、右脚を伸ばしてかかとを床につく。背すじを伸ばし、両手はいすの座面を軽くつかむ。
【NG】上体を倒し過ぎて肘が曲がったり、腰が丸まったりしないようにする
【2】上体を前に倒す
背すじを伸ばしたまま上体を前に倒し、両手を右膝の上に重ねて軽く圧をかけ、10秒キープ。反対側も同様に行う。
【伸びを意識するところ】ももの裏側の筋肉
お尻持ち上げ
お尻や太ももの裏側の筋肉をほぐし、こわばって縮んだ筋肉を伸ばしていく効果があります。
【1】いすに座り両手をももの裏にまわす
いすに浅く腰かける。上体を倒しておなかを太ももに近づける。両手をももの裏にまわして抱え、おなかに引き寄せる。
【NG】太ももとおなかが離れる
【2】お尻を持ち上げる
お尻をできるだけ持ち上げ、10秒キープ。膝は曲がったままでOK。できる人は、膝が伸びるくらいお尻をより高く上げるとさらに効果的。
【伸びを意識するところ】ももの裏の筋肉
【行うときのポイント】
●Step1とStep2を両方行う
骨盤が立っていなければ、背骨を整えても姿勢はよくなりません。また、姿勢が悪ければ、バランスを取ろうとして骨盤が倒れます。そのためねこ背を治すには、ふたつのストレッチを続けて行うことが必要です。
●朝1回時間を決めて行い余裕があれば寝る前も行う
1日1回、体がかたまっている朝にストレッチでしっかりほぐしましょう。朝の運動は幸せホルモンの分泌を促し、自律神経が整い夜はぐっすり眠れる効果も!夜も行えば日中の姿勢の癖をリセットできます。
●なにかにつかまって行うなど転倒に注意
転倒してケガをしてしまっては元も子もありませんし、不安定な状態だと効果も半減します。転ばぬ先の杖として、安全を確保してから行いましょう。また、無理をせず、気持ちいいと感じる強度で行って。
●行う前と後は鏡をチェックする
ストレッチの前に鏡で現状をチェック!骨盤や背骨の状態を確認することで、意識すべきポイントがわかります。終わってからも鏡を見て体の変化を確認することでモチベーションが上がり、続けやすくなります。
タンクトップ¥6,600、レギンス¥11,990/ともにチャコット・バランス(チャコットお客様相談室)
撮影/中林 香 ヘア&メイク/中島由起子 モデル/藤井やよい イラスト/奥川りな 文/諸井まみ(TEAM H!)
※素敵なあの人2025年6月号『あっという間に背すじがすっと伸びる10秒ねこ背ストレッチ』より
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