遺言書と生命保険は相続の両輪です
不動産や非公開会社の株式など、迅速な売却や現金化が難しい財産がある場合には、家族にはそれなりの現金を残すことがひとつのポイントになります。
「私がよくお話しするのは、『遺言書と生命保険は車の両輪のようなもの』ということ。生命保険は、いまない財産を誰かにあげる。遺言は、いまある財産を誰かにあげる。両方あることで、家族の安心感は高まります。もしも預貯金があまりない場合に、長男に自宅を相続させたいと思ったなら、長男を生命保険の受取人に指定。そこから、次男に遺留分を払ってもらうことも考えられます」
今回の取材を受け、本田先生自身も遺言書を見直したそう。
「子どもは成人すれば、自分で不動産の管理や株式投資が可能なので、万が一、私が死亡した場合の遺産分けの内容を見直しました。夫には、自宅の相続を中心に考えています」
遺言書は一度書いたら終わりではなく、書き直しをするタイミングがいずれやってきます。たとえば、不動産を売却したときや身内を亡くしたとき……。
「親御さんを亡くした経験のある方なら、相続のいろいろ面倒な手続きのことはご存じのはず。自分の家族に同じ思いをさせないよう、折を見て何度か人生を棚卸し。財産目録の修正や遺言書の書き直しが必要なときがいずれやってきます。財産目録を作るのはワープロやコピーであってもかなりの手間がかかるもの。それを作る気力体力のある60代は、いわば遺言書の適齢期です。一度作れば調整は比較的楽ですから。そうそう、新しい遺言書を書き上げたら、古い遺言書は必ず破棄しましょう。遺言書が何通も出てくると、遺族が揉める原因になりますから、どうぞお忘れなく」
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