2020年にスタートした遺言書の原本と画像データを法務局に保管する 「自筆証書遺言書保管制度」を機に、「自筆遺言証書」を書く人が急増しているという法務省のデータがあります。ではいざ自分で遺言書を書くにはどうしたらいいのか、書き残しておくべきことなどを弁護士の本田桂子先生に聞きました。
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財産を書き出してわが家にふさわしい相続を
遺言書を書く前に、自分の財産目録を作るとして、まずなにから始めればいいでしょう?
「自分名義の預貯金口座や証券口座、土地建物などを、現在の残高や評価額とともに、一覧表にしてみてください。その財産を、法定相続分に従ってどう分けるか、具体的に考えてみるといいと思います。そこから、さまざまな問題点が浮き彫りになることもあります」(※以下()内本田先生)
たとえば、法定相続人が夫と子どもふたりの人の場合、配偶者である夫が二分の一。残り二分の一をふたりの子どもで分けて四分の一ずつ。もし、自宅があなた名義の場合、自宅を夫ひとりに相続させると、子どもたちの相続分が不足して、遺留分(※)の問題が生じる可能性があります。
「さらに、相続税についても考える必要があります。現在、夫婦間相続の場合は、配偶者が相続した遺産が1億6,000万円以下などの場合、配偶者にかかる相続税はゼロです。だからと言って、夫に全財産を相続させると、子どもの遺留分を侵害することになりますし、将来、夫死亡時には(二次相続)相続税が高くなるかもしれません」
遺言書を書いてみて、こんな悩ましい問題が出てきたときこそ弁護士や税理士などの専門家に相談したほうがよさそう。
(※)遺留分とは、配偶者、子、直系尊属(父母や祖父母)である法定相続人(兄弟姉妹をのぞく)が最低限の遺産を請求できる取得割合のことです。
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